キャットフードには大きく分けて乾燥させてカリカリした食感のドライタイプと、水煮やゼリー、ムースやペーストなどのウェットタイプがあります。いずれがいいのかは猫の成長段階によっても異なります。離乳してからまだ歯が生えそろわない子猫の時期や高齢になって歯が弱くなった際、消化吸収力が落ちたときや介護が必要な場合はウェットタイプがおすすめです。
一方、子猫の成長期や成猫の段階ではドライタイプも加えることで、アゴの骨や歯を鍛えること、噛む力や咀嚼機能も鍛えることができます。それぞれの特徴とメリット、デメリットについて理解し、猫の成長や状態に応じて適切に選び、組み合わせていきましょう。
ドライタイプのメリットと活用法
ドライタイプの1番のメリットは保存性や保管性に優れ、腐りにくいことです。ペットをおいて外出する際や仕事などで長時間家族がおらず、餌の時間に頻繁にあげることができないときにも便利です。また、総合栄養食として栄養価や成分、カロリーなどが綿密に計算されているので、年齢や体重などに応じてガイドされた目安量を与えることで、過不足のない栄養や必要なエネルギーを摂取できます。
ドライタイプは水分量が少ないので栄養素やカロリーが凝縮されており、ウェットタイプと同じカロリーで比較すれば、より少ない量で1日に必要な栄養やエネルギーが摂取できます。そのため、小食であまり量を取らない猫や、ウェットタイプはあまり起きに示さない猫にもおすすめです。
また、硬いものを噛むことで噛む力や咀嚼力アップに役立ち、アゴの骨などの成長も促進できます。さらに噛むことで唾液でて口の中が潤い、雑菌などの繁殖を抑えて猫特有の口臭の防止や虫歯や歯槽膿漏などの口腔病を抑えるメリットもあります。
ですから、猫が好むからと柔らかいウェットタイプばかりを与えるのではなく、適度にドライタイプも与えて噛む習慣を持たせてあげることも大切です。
ドライタイプのデメリット
ドライタイプは高齢になったり、成猫でも歯槽膿漏などにかかったりすると食べにくくなっていきます。こうした際には状態に合わせてウェットタイプの活用が望まれます。また、水分量が少ないのでドライフードだけを食べさせていると、必要な水分の摂取がしにくくなるので注意が必要です。
猫はもともと砂漠地帯の原産なので、水分を摂取できなくても腎臓で再吸収ができる仕組みがあります。ですが、身体の構造は6割から7割が水分でできていますので、水分が不足するということは腎臓を酷使し、負担をかけることになりかねません。
猫の死因の1位にもランキングされる腎臓病のリスクを抑えるためにも、こまめな水分補給が不可欠です。猫の1日に必要な水分量は体重3kgで159cc、6kgなら266ccほどでコップ1杯からマグカップ1杯ほどにも及びます。
日頃から猫の水の飲み方を見ていれば、これだけの量を飲ませるのはかなり大変なことが分かるでしょう。この点、ウェットタイプなら、キャットフード内に含まれている水分で補うことが可能です。これに対して、ドライフードの場合は含まれる水分量が少ないので、体重によって90cc~170ccものお水が必要となります。
水をたくさんは飲まず、夏場や冬場の乾燥時期の脱水症状などが気になる際には、ドライフードよりもウェットフードの量を増やすなど、食べ物から気軽に摂取できる水分にもこだわるのがおすすめです。
ウェットタイプのメリットと活用法
ウェットタイプは幼少期や高齢になってから咀嚼力が弱いときの栄養補給とエネルギー摂取に役立ちます。添加物が少ないタイプも多く、安心して食べさせられる商品ラインナップも増えてきました。飼い主にとっても、ドライフードは見た目にも一体何が入っているのだろうと思え、原材料を見ても見た目と材料を結びつけることは困難な形状です。
ですが、ウェットタイプは魚やササミなどのフレークやゼリーなどの場合には元の食材の形状も残されており、香りなども人間にとっても美味しいと感じられるものが少なくありません。
飼い主が食べてもらいたいと思う食材を選びやすく、ちゃんとした食べ物を与えいる感が得られます。子猫の離乳食として活躍するほか、老猫の常食や介護食としても活躍してくれます。
ウェットタイプのデメリット
ウェットタイプは一度開封してしまうと保ちが悪く、1回で食べきれない場合は冷蔵庫に保管のうえ、その日のうちに使い切るのが基本です。夏場の暑い時期などは出しておくだけでも腐りやすいので、食べきれなかったときはすぐに廃棄するなどして、猫が食中毒を起こさないように管理してあげなくてはなりません。
ドライフードとウェットフードはいずれもメリット、デメリットがあり、その猫に適したタイプを上手く活用してあげることが大切です。
猫は飼い主から与えられるものを食べることしかできず、キャットフードを選べませんので、猫の年齢や体重、状態に合わせて適切に栄養とエネルギーが摂取できるようにコントロールしてあげましょう。